予備試験の再現答案は、作った後が本番|元四大弁護士が「検証のしかた」を書く

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まず、お疲れさまでした

2026年(令和8年)の予備試験論文式試験が終わりました。CBT初年度の2日間、本当にお疲れさまでした。

この記事は、今日から数日のうちにやっておくべきことについて書きます。手応えがあった人にも、なかった人にも、同じように意味があります。

結論を先に書きます。

  • 再現答案は48時間以内に着手する。記憶は思っているより速く消える
  • ただし、再現答案は作ることが目的ではない。作った後の検証で価値が決まる
  • 今年はCBT初年度。手書きの年とは、思い出し方の条件が違う
  • 合格発表は12月17日。3か月をどう使うかで、来年が変わる

今日やること、明日でいいこと

疲れているはずなので、優先順位をつけます。

**今日中にやってほしいのは1つだけです。**各科目について、設問ごとに何を書いたかを箇条書きで書き出すこと。文章にする必要はありません。立てた規範、拾った事実、結論。それだけで構いません。

所要時間は全科目で1時間程度です。これが再現答案の骨格になります。

明日以降でいいのは、それを答案の形に起こす作業です。骨格さえ残っていれば、肉付けは後からできます。逆に骨格を失うと、後から何をやっても戻りません。

なぜ48時間なのか

記憶の減り方は、直線ではありません。最初の数十時間で急激に落ちます。

私自身の経験で言えば、答練の答案が返ってくる2週間後には、自分が何を書いたのかを正確には覚えていないことが多かった。なぜここでこの構成を選んだのか、なぜこの論点を落としたのかを思い出せないまま、赤字だけを読むことになる。それでは直せるのは表面だけです。

再現答案も同じです。1週間後に作った再現答案は、もはや再現ではなく再構成になります。そのとき書けるのは「本来書くべきだったこと」であって、「実際に書いたこと」ではありません。

そして検証に必要なのは、後者です。

CBT初年度ならではの条件

今年は、例年と違う点が2つあります。

答案は手元にありません

手書きの年でも答案は回収されますが、書いた文字の形や紙面の埋まり具合という身体的な記憶が残ります。今年は画面に打ち込んだので、その手がかりがありません。

一方で、入力した文章は自分の頭の中でより言語的に残っている可能性があります。手書きより速く打てるぶん、書いた文の順序を覚えている人もいるでしょう。ここは人によって差が出る部分です。

メモ用紙は持ち帰れたはずです

法務省のQ&Aによれば、答案構成に使うメモ用紙は持ち帰ることができます。

**もし手元にあるなら、それが最良の起点です。**答案構成は、書き始める前の自分の思考そのものです。何を論点として拾い、どういう順序で並べようとしたか。ここから逆算すれば、実際の答案はかなり正確に復元できます。

捨ててしまった人は、記憶からの書き出しになります。それでも骨格は残せます。

なお、CBTの仕様や当日の扱いについては別記事で整理しています。

再現答案は「作った後」が本番

ここからが本題です。

多くの人は、再現答案を作って保存して、そこで終わります。それでは3か月後に何の役にも立ちません。

再現答案の価値は、自分の答案を他人の目で読める状態にすることにあります。書いた直後は自分の意図が透けて見えるので、客観的に読めません。だから作ったら一度寝かせて、それから検証します。

検証のしかた

弁護士が起案を仕上げるときにやっていることを、そのまま使えます。順序は3段階です。

第1段階:形式が壊れていないか。

規範を立てたのに当てはめが対応していないか。三段論法の途中が飛んでいないか。設問ごとの分量配分が極端に偏っていないか。**これは自分でも判定できます。**機械的な作業なので、感情を挟まずに済みます。

第2段階:論証が正確か。

出題趣旨が公表されたら、そこと突き合わせます。自分が立てた規範は判例の理解として正確だったか。採用した説で、その事案を無理なく処理できていたか。

私自身の受験時代の失敗で言えば、対立説を理解しないまま自説に無理やり当てはめていたというものがありました。一つの説だけを覚えて、どの事案にもそれを当てはめようとする。すると説明しづらい事案に出会ったときに、無理な論理を書くことになる。そして自分の答案が不自然であることに、自分では気づけない。

ここは出題趣旨という外部の基準があって初めて検証できます。

第3段階:当てはめの密度が足りているか。

実務で若手の起案を見るときも、この3つは全く別の作業です。形式面ができていることは最低条件で、そこは満たされている前提で読み始めます。そのうえで見るのは、論証が正確かどうかと、当てはめの密度が足りているかどうか。

形式の誤りは指摘すれば直ります。しかし「この事実の拾い方で足りているか」は、指摘の前に判断が要る。基準が相対的で、事案ごとに動くからです。

答案の検証も構造は同じです。形式の検査は入口にすぎず、勝負はその上の層で決まります。

そして第3段階だけは、独りでは判定が難しい。自分の答案が合格ラインとどれだけ離れているかは、大量の答案を見た経験に依存するからです。ここは他人の目を借りる価値があります。

12月17日までの3か月をどう使うか

合格発表は12月17日(木)、成績通知は12月下旬です。

この3か月の使い方は、手応えによって変わります。ただしどちらの場合でも、共通してやるべきことがあります。

口述試験の準備は、発表を待たずに始める

論文式に合格した場合、口述試験は2027年1月23日・24日です。発表から1か月しかありません。

発表を見てから始めると、確実に足りません。手応えがあるなら、11月には準備を始めておくべきです。

手応えがない場合にやるべきこと

率直に書きます。予備試験の最終合格率は例年3〜4%台です。不合格を想定して動くことは、悲観ではなく合理です。

このとき最も価値があるのが、今作る再現答案です。なぜ足りなかったのかを検証できる材料は、これしかありません。成績通知で科目ごとの評価が返ってきたとき、答案が手元にあれば「この答案でこの評価だった」という対応関係が分かります。答案がなければ、評価の数字だけ見て終わりです。

そして、もし来年に向けて学習方針を変えるなら、12月の発表を待ってから考え始めると遅いというのが現実です。

理由は2つあります。各社の翌年度向けカリキュラムは秋には出揃っていて、早期申込割引が設定されていることが多いこと。そして12月から1月は、同じことを考える人が最も多い時期で、じっくり比較する時間が取れなくなること。

今すぐ決める必要はありません。ただ、選択肢の形だけ把握しておくと、12月以降の判断が速くなります。

当サイトでは、主要7社を料金・添削体制・CBT対応で比較しています。何にいくら払うと何が手に入るのかを、価格帯ごとに整理したものです。

また、独学で進める場合に何が埋まらないのかについては、こちらで分解しています。

今日は休んでください

最後に書いておきます。

**今日やるべきなのは、設問ごとの箇条書きだけです。**1時間で終わります。それ以上は明日以降で構いません。

2日間の試験は、思っている以上に消耗しています。疲れた状態で作った再現答案は精度が落ちますし、何よりここで無理をすると、3か月後に動けなくなります。

骨格だけ残して、今日は休んでください。

まとめ

  • 今日中:各科目、設問ごとに書いた内容を箇条書きで残す(1時間)
  • 48時間以内:それを答案の形に起こす
  • メモ用紙が手元にあれば、それを起点にすると精度が上がる
  • 再現答案は作った後の検証で価値が決まる
  • 検証は形式 → 論証の正確性 → 当てはめの密度の順
  • 口述の準備は発表を待たない(試験は2027年1月23日・24日)
  • 合格発表は12月17日

※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。試験日程等は必ず法務省の公式発表でご確認ください。

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