予備試験の添削は1通いくらか|元四大弁護士が各社の添削単価を計算した

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結論:割ってみると、10倍以上の差が出る

当サイトでは繰り返し、予備校の価格差の実体は「答案を見慣れた人に、何回見てもらえるか」に集約されると書いてきました。

それなら、割り算ができるはずです。講座料金を添削通数で割れば、添削1通あたりの単価が出ます。

計算してみました。結果は以下のとおりです(2026年10月時点の公表価格による)。

講座 料金(税込) 添削通数 1通あたり
アガルート/フルカリキュラム 1,298,000円 206通 約6,300円
アガルート/ライトカリキュラム 998,800円 174通 約5,700円
資格スクエア/合格フルパッケージ 877,800円 275通 約3,200円
スタディング/論文対策 予備試験実践編 39,800円 AI添削300枚 約130円
伊藤塾 約1,496,000円 総通数は非公表 算出不可
LEC 約561,000円〜 総通数は非公表 算出不可

人による添削の単価は3,200円から6,300円。AI添削は約130円。

ただし、**この数字をそのまま受け取ってはいけません。**理由を先に書きます。

この割り算は、正確ではない

正直に書きます。上の計算は、厳密には間違っています。

講座料金には、添削以外のものがすべて含まれているからです。基礎講義、テキスト、短答対策、質問制度、学習相談。アガルートのフルカリキュラムなら総合講義300時間が入っていますし、資格スクエアなら基礎問334問とそのAI添削が入っています。

それらをすべて「添削代」として分子に乗せて割れば、単価は実際より高く出ます。

つまりこの表は、「アガルートの添削は1通6,300円で、資格スクエアの倍額だ」という意味ではありません。そう読むと、確実に判断を誤ります。

それでも計算する意味

では無意味かというと、そうではありません。この数字は、各社が添削にどれだけ比重を置いているかの粗い指標になります。

同じ価格帯で通数が多ければ、添削の比重が高い設計だと推定できる。逆に通数が少なければ、講義やテキストに価値の重心がある。

資格スクエアとアガルートの差は、まさにここに出ています。**87万円で275通と、130万円で206通。**単価で1.9倍の開きがあるということは、2社の設計思想が違うということです。アガルートはプロ講師が全添削を担当すると明示していて、そのぶん1通あたりのコストが乗っている。資格スクエアはAI添削と人的添削を二層に分けて、量を確保する設計です。

単価の違いは、優劣ではなく構造の違いとして読むべきです。

通数を公表していない社がある

表を見て、もう1つ気づいてほしいことがあります。

伊藤塾とLECは、総添削通数を公表していません。

誤解のないように書きますが、これは不誠実という意味ではありません。両社は答練や過去問講座を単科で細かく組み合わせる設計なので、「カリキュラム全体で何通」という数え方自体が成り立ちにくい。伊藤塾の予備試験論文直前答練は全15回、CBT答練パックは全64問といった形で、講座単位では明示されています。

ただし、選ぶ側からすると差が出ます。合計が出ている社とは、比較の土俵が違うのです。

ここは割り切るしかありません。単科積み上げ型の予備校を検討するなら、自分が取る講座を具体的に決めてから、そこに含まれる添削回数を自分で合計する。その作業を省くと、いくら払って何通見てもらえるのかが最後まで分かりません。

AI添削の130円をどう見るか

スタディングのAI添削は1枚あたり約130円です。人の添削と比べて40分の1から50分の1。

桁が違いますが、これは「安い」という話ではありません。別の商品です。

独学の限界を分解した記事で書いたとおり、添削という作業は2つの層に分かれます。形式と論理の検査、そしてその上の評価です。

前者は判断基準を言語化できるので、AIが得意で、しかも即時に返ることの価値が大きい。後者は大量の答案を見た経験に依存します。

**130円で買えるのは下の層です。**そして3,200円から6,300円で買っているのは、下の層と上の層の両方になります。

したがって現実的な設計はこうなります。**形式を固める段階は回数で押す。合格ラインとの距離を測る段階は人に見てもらう。**自分がいまどちらの段階にいるかで、払うべき金額が変わります。

【法律】100万円の講座を途中でやめられるか

ここからは、弁護士としての整理です。受験生が最も知らない論点だと思うので、一般的な情報として書いておきます。

100万円を払った後で、合わないと分かったらどうなるのか。

資格試験の予備校は「特定継続的役務提供」ではありません

特定商取引法には、長期・継続的な役務と高額の対価を約する取引について、クーリング・オフと中途解約を認める規定があります。対象となるのはエステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7役務です。

このうち学習塾は、学校(幼稚園および小学校を除く)の入学試験に備えるため、または学校教育の補習のための学力の教授で、児童・生徒・学生を対象とするものと定義されています。期間2か月超・金額5万円超が要件です。

**予備試験・司法試験は、学校の入学試験ではありません。**学校教育の補習でもない。したがって、資格試験の予備校講座は、この7役務のいずれにも該当しないと解されます。

結果として、法律上のクーリング・オフ権も中途解約権も及びません。

学習塾であれば、中途解約時の違約金は2万円または1か月分の授業料相当額のいずれか低い額が上限と定められています。資格試験予備校には、この上限規制が適用されません。

だから約款を読む必要があります

法定の保護がない以上、解約できるかどうかは各社の約款次第です。

これは「予備校が悪い」という話ではありません。制度設計としてそうなっているという話です。そして、だからこそ申込み前に確認すべき項目があります。

**100万円の契約で、法定の離脱権がない。**この事実だけでも、申し込む前に無料体験や資料請求で相性を確かめる理由になります。後から抜けられる前提で判断すると、見通しを誤ります。

※本項は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。具体的な契約の解釈については、契約書・約款の内容と事情によって結論が変わり得ます。

結局、何を確認すればいいか

添削にいくら払うかを決めるとき、見るべき項目を整理します。

**1. 通数の内訳が公開されているか。**総数だけでは判断できません。答案の書き方を学ぶ段階のものか、過去問レベルのものかで価値が違います。アガルートは内訳を公開していて、206通のうち90通が予備試験の論文過去問です。

**2. 誰が返すのか。**プロ講師か、合格者か。明示している社とそうでない社があります。受講相談で聞けば答えてくれます。

**3. 返却までの日数。**私の受験時代、答練の答案が返ってくるまでおよそ2週間かかりました。そして返ってきた頃には、**自分が何を書いたかを正確には覚えていないことが多かった。**添削の価値のかなりの部分が、待っている間に目減りします。

**4. サンプルを実際に見る。**各社とも添削サンプルを公開しています。資格スクエアはAI添削を非受講生にも無料開放しているので、自分の答案で質を確かめられます。

**5. 約款の解約条項。**前述のとおりです。

まとめ

  • 料金を添削通数で割ると、人による添削は1通3,200円〜6,300円、AI添削は約130円
  • ただしこの割り算は厳密には正確でない。比重の粗い指標として使う
  • 伊藤塾・LECは総通数を非公表。単科積み上げ型なので、自分で合計する必要がある
  • AI添削と人の添削は、安い高いではなく層が違う商品
  • 資格試験の予備校は特定商取引法の特定継続的役務提供に該当しない。法定のクーリング・オフ権・中途解約権は及ばない
  • したがって約款の解約条項を申込み前に確認する

各社の詳細は個別に検証しています。

※本記事の料金・添削通数は、2026年10月3日時点で各社公式サイトに掲載されている情報に基づきます。予告なく変更される場合があるため、申込みの際は必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。