予備試験の口述試験は何をする試験か|元四大弁護士が「対話の試験」として解説

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結論:知識の試験ではなく、対話の試験です

予備試験の口述試験は、**2027年(令和9年)1月23日(土)・24日(日)**に実施されます。論文式試験の合格発表は12月17日なので、発表から試験まで約5週間しかありません。

この試験について、先に結論を書きます。

**口述試験は、知識を確認する試験ではありません。**試験官との対話の中で、問いに正確に答えられるかを見る試験です。論文式までで問われてきた「書く力」とは、要求される能力が違います。

合格率は極めて高く、例年ほとんどの受験生が通過します。ただし**毎年、数名から十数名が落ちています。**そして落ちる理由は、知識不足だけではありません。

以下、当日の流れと、何が評価されるのかを整理します。

日程と受験票

まず事務的な確認です。

項目 日付
論文式試験の合格発表 2026年12月17日(木)
口述試験の受験票の郵送 2026年12月下旬
口述試験 2027年1月23日(土)・24日(日)
最終合格発表 2027年2月4日(木)
成績通知 2027年2月中旬

受験票は郵送されます

ここは論文式試験と扱いが違うので、注意してください。

法務省のQ&Aによれば、口述試験の受験票は**出願方法にかかわらず、紙媒体の受験票兼日程通知書が12月下旬に郵送されます。**電子出願者にはデジタル受験票も発行されますが、郵送されたものが正本であり、試験当日に持参する必要があります。

論文式では電子出願の場合に自分でダウンロードして印刷する必要がありましたが、口述は違います。届くのを待つ形です。

なお、受験票が届かない場合は、**試験当日に会場の試験事務室で仮受験票の交付を受けられます。**その際は本人確認のため、写真付きの身分証明書が必要です。届かないまま当日を迎えても詰みではありませんが、時間に余裕をもって会場に行く必要があります。

当日の流れ

口述試験は、他の試験と動き方がまったく違います。待ち時間が長いのが最大の特徴です。

おおまかな流れは以下のとおりです。

  1. 会場に到着、受験票の確認
  2. 大部屋で待機
  3. 順番が来たら別室へ移動
  4. 試験室に入り、試験官と問答(1科目あたり15分から30分程度)
  5. 終了後も別室で待機。全員が終わるまで帰れません

**試験の順番は、当日会場の受付で受け取る番号札に記載されています。**順番が早ければ待ち時間は短いですが、順番によっては数時間待つことになります。

そして重要なのは、終わった後も待機があることです。先に終わった人が外部に内容を漏らすのを防ぐためと考えられます。つまり、自分の試験が10分で終わっても、会場にいる時間は半日近くになる可能性があります。

この構造を知らずに行くと、体力と集中力の配分を誤ります。

持ち物は「待つための装備」

公式に必須とされているのは受験票と本人確認書類だけです。試験用六法は貸与されます。

実質的に効くのは、待ち時間をどう過ごすかの装備です。

数時間待つ可能性がある以上、直前に確認したい資料は必要です。ただしその場で新しい知識を入れようとするのは逆効果だと考えます。緊張した状態で新しいものを読んでも入りませんし、かえって不安になる。

見返すなら、自分が作ったものにしてください。要件事実のまとめ、手続の流れを整理したメモ。すでに頭に入っているものを確認する作業は、落ち着きを保つのに役立ちます。

真冬の1月で、待機場所が広い空間になることもあります。防寒は現実的な問題です。

配点の構造を知っておく

例年、口述試験は民事実務と刑事実務の2科目で、各科目60点を基準点として、おおむね57点から63点の範囲で評価されるとされています。2科目合計126点満点で、119点以上が合格というのが通例です。

この構造から分かることがあります。

**両科目とも基準点の60点なら合計120点で、合格ラインを超えます。**つまり、普通にやり取りができれば通る設計です。

逆に言えば、落ちるのはどこかで大きく外したときです。1科目で58点、もう1科目で59点のような評価が重なると、合計117点で届かない。

**だから対策の目標は「高得点を取る」ではなく「大きく外さない」になります。**ここが論文式との最大の違いです。

「対話の試験」とは何を見ているのか

ここからが本題です。

口述試験では、試験官が事案を読み上げ、それに対して口頭で答えていきます。民事では、机の上に事案の図や日付が書かれたパネルが置かれ、それを見ながら答える形式が取られることがあります。

民事では請求の趣旨を聞かれ、次に請求原因事実を聞かれるという流れがオーソドックスだとされています。刑事では犯人性や手続に関する問いが出ます。

では、何が評価されているのか。実務の感覚で言えば、評価されているのは3つです。

1. 聞かれたことに答えているか

これが最も重要です。

**知っていることを全部話すのは、評価を下げます。**試験官は特定の論点について特定の答えを求めていて、そこに到達するまでの道筋を設計して質問しています。関係のない知識を並べると、問いを理解していないと判断されます。

実務でも同じです。裁判官から釈明を求められたとき、聞かれていないことまで答えると、**論点が見えていないと受け取られます。**依頼者への説明も同じで、質問に対して周辺情報を延々と話すと、かえって不信を招く。

**問われた範囲に、その範囲だけで答える。**これは実務に入ってからも要求され続ける能力です。

2. 分からないときに、どう振る舞うか

分からない問いは必ず出ます。そこでどうするか。

**最悪なのは、黙ることです。**対話の試験である以上、沈黙は答えになりません。試験官は、受験生が考えているのか、分からないのか、固まっているのかを判断できない。

**分からないなら、分からないと言う。**そのうえで、どこまでは分かっているのかを示す。「条文の番号は出てきませんが、こういう制度だったと理解しています」と言えれば、理解の範囲は伝わります。

そして口述試験では、**試験官が誘導してくれます。**答えが出てこないときにヒントを出し、正解に近づけようとする。この誘導に乗れるかどうかが分かれ目です。黙ってしまうと、誘導する材料すら与えられません。

実務でも、分かりませんと言えることは能力です。分からないまま推測で答えて外すほうが、損害が大きい。知らないことを知らないと言ったうえで、調べて戻ると言えるかどうか。口述試験で見られているのは、この素養の原型だと思います。

3. 落ち着いて話せているか

緊張は当然します。ただ、答えを知っているのに、焦って別のことを言ってしまうのは避けたい。

これは慣れの問題なので、**口に出して答える練習を事前にやっておくしかありません。**頭の中で分かっていることと、口から出てくることの間には差があります。要件事実を声に出して言えるか、手続の流れを順番に説明できるか。黙読では確認できません。

12月17日から始めると間に合わない

最後に、時期の話を書きます。

論文式の合格発表は12月17日、口述試験は1月23日。約5週間です。そして年末年始を挟みます。

この期間に、民事実務と刑事実務をゼロから仕上げるのは現実的ではありません。

特に口述試験では、民事保全法や民事執行法、要件事実といった、短答式・論文式ではあまり問われない範囲から出題されることがあります。論文式までの学習でカバーしきれていない部分が残っている可能性が高い。

**手応えがあるなら、11月のうちに始めてください。**発表を待ってから動くと、年末年始で実質的な学習時間が削られます。

この点は、試験が終わった直後に書いた記事でも触れました。

口述模試は使う価値がある

口に出して答える練習は、独りではやりにくい。試験官役がいないと、誘導に乗る練習ができないからです。

各予備校が口述模試や口述対策講座を用意しています。論文式の合格発表後に申し込むと定員の問題が出ることもあるので、選択肢だけは先に把握しておくほうが安全です。

なお、各社の講座構成と料金は個別に検証しています。

まとめ

  • 口述試験は2027年1月23日・24日。論文式の合格発表は12月17日で、間は約5週間
  • 受験票は郵送される。論文式と扱いが違う。届かなければ当日に仮受験票
  • **待ち時間が長い。**順番によっては数時間、終了後も全員が終わるまで待機
  • 配点は126点満点で119点以上が合格。普通にやり取りできれば通る設計
  • 評価されるのは聞かれたことに答えているか/分からないときの振る舞い/落ち着いて話せているか
  • **沈黙が最悪。**分からないなら分からないと言い、誘導に乗る
  • 民事保全・執行、要件事実など論文式では手薄になりがちな範囲が出る
  • **11月のうちに着手する。**発表を待つと年末年始で時間が消える

※本記事の日程および受験票の取扱いは、法務省が公表している情報に基づきます。配点・形式に関する記述は、公表資料および過去の受験報告をもとにした一般的な説明です。受験に際しては必ず法務省の公式発表と受験案内をご確認ください。また本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。

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